カフカ
2006年11月3日 映画・読書批評以外の話 コメント (4)僕が読書好き、文学好きになったきっかけは、フランツ・カフカである。
それまで本といえば漫画しか読まなかった僕は、古本屋で店員として働いていたときに、すごいきれいなお姉さんがカフカの『変身』を文庫で買って行くのを見て、「あんなにきれいなお姉さんが買って行く本とはどんなものなんだろう」という興味から、自分もカフカの『変身』を読んでみたわけなのである。
主人公であるグレゴール・ザムザは、ある朝目が覚めると突然、大きな虫になっていた。
ようは、ただそれだけの話しである。グレゴールは自らが虫に変わってしまっているということに、何らの疑問ももたず、それをすんなりと受け入れてしまうから、そこが不思議といえば不思議なのだが、まあ、それは僕にとっては関心のあることではない。
僕が気にしていたのは、もちろんかもしれないが、なぜグレゴールが虫になってしまったのか、ということであった。
僕は、グレゴールの現実からの逃避の願望が、自らを虫に変え、さらに自らの人間としての宿命を否定したことにより、もはやこの世界に存在できなくなったと考えた。(グレゴールは若くして父、母、妹との四人からなる家庭を支えていかなければならず、その状況から逃避したがっていた)
グレゴールが変身した虫は、ほどなく死んでしまうから、グレゴールは虫としての姿でこの世界に存在することも本質的には許されていなかった。
カフカは世界の不条理を描いているとよく言われるが、僕はいまだにつかみどころの分からないカフカの作品が好きである。『城』、『審判』、『アメリカ』など、どれもただ読んでいるだけでは、作品として何が言いたいのか分からない。しかし、世の中に存在する不条理から目を背けさせ、あたかも世界には何らの不条理も存在しないかのように思いこまさせている社会というものの存在に比べれば、カフカはよほど正直な人間だったのかもしれない。
コメント
カフカは私も今「城」を読みかけで、やっぱり何がいいたいのか、よくわからないです(^^;;けれど、何故か、続きを読んでしまいますね。本好きな人にとってカフカはすごい作家なんですよね。私もそれが味わえるようになりたいです。
カフカは不思議なんです。不思議な魅力があります。実存文学の先駆と言われますが、難しくて僕にはどのへんが実存なのかよく分かりません。
同じようにカフカに関心をもってくだるNAOさんのような方がいらしてくれて嬉しいです。
「15歳の時に城を読んで以来、一番好きな作家です」
と、英語でスピーチされたそうです。
私はカフカの小説は一度もまともに読んだことがありませんが、今度絶対読みます。「城」、面白そうです。
『城』をお読みになりますか?ぜひ、おすすめします。僕は昔、暇だったので図書館に行き、開館から閉館までずっと『城』を読んでいたことがあります。すごいいごこちのいい図書館でした。