スイス、ダヴォスの山上のベルクホーフ国際結核療養所に、3週間の予定でいとこのヨーアヒム・チームセンを見舞った見習い造船技師ハンス・カストルプは、そのまま自ら入院患者となり、療養所の生活を始める……。


 難しいんだよなあ。トーマス・マン、『魔の山』。反自然主義文学ですか。唯物論的な世界観ではなくて、人間の内面に目を向けよ、と。とくに「時間」についての話が出てきますね。「時間」とは物理的で客観的なものではなく、その人の内的な意識によって、感じられる長さが違う、と。意識というものは、物理的なものではないからね。物理的なものさしでは、はかれないわけで。すべてを数字とか数値とか客観的なもので表せると思っているのが間違いだ。

 
 
出版社/著者からの内容紹介
「私は誰か?」シュルレアリスム運動の最盛期,1928年に発表されたブルトンの代表作は,自分への問いかけから始まる.実際に出会った人物,おこった出来事,発せられた言葉を,克明に記録するというこの新しい「小説」は発表当初より賛辞にかこまれ,35年後,「著者による全面改訂版」としてふたたび世に送り出された.

内容(「BOOK」データベースより)
パリの町で出会った妖精のような若い女・ナジャ―彼女とともにすごす驚異の日々のドキュメントが、「真の人生」のありかを垣間見せる。「私は誰か?」の問いにはじまる本書は、シュルレアリスムの生んだ最も重要な、最も美しい作品である。1963年の「著者による全面改訂版」にもとづき、綿密な注解を加えた新訳・決定版。


 僕は白水社から出ているほうのナジャを読みましたが。
 パリの街角でブルトンに対して、「訳はすべて分かっているわ」というような微笑みを投げかけてくるナジャ。初対面にもかかわらず、です。これは僕の憧れでもありました。
 生い立ちからなにも、ことこまかに説明するまでもなく、出会った時点で承知されちゃっているのです。
 「これが不安」「あれが怖い」とか、僕の特有な不安とか性格をいちいち説明しなくても、分かってもらえていたら、すごいね。それは素敵だ。
 
 

嘔吐

2009年2月15日 読書
内容(「MARC」データベースより)
サルトルの精神形成を知るうえで欠かすことのできない「実存主義の聖書」であり、また実存主義思潮の熱い季節が去った後も、人生とは何かを真正面から純粋に追求した類稀な小説。実存と不条理を描く現代文学の古典。*

 いちおう読みました。歴史家ロカンタンが主人公。考えすぎて、何にもしない、だたの一市民である。
 ある日、突然に嘔吐の感覚がはじまると、世界がゆがんで見え始める。
なんだか、僕の嘔吐恐怖症と、目のガイシャイの症状みたいだ。
ガイシャイは物が二重に見えるのだけど。物が二重に見える、実存主義では自分に見えたままが実存だから、僕に世界が二重に見えるなら、世界は二重なんだよ。
 僕が見て感じたとおりが真実だ。

 サルトルは、よく分からないです。この本も読んでいて、つかみどころがなくて、なんだかよく分からなかった。これってホントに小説なの?と思ってしまった。ストーリーがあるような、ないような。
 
 ああ、そういえば、ひきこもりのサークルでアンガージュマン、アンガージュマンってさかんに言っているところがあった。
 社会参加?
 アンガージュマンは、そんなような意味なんだけど、自分が主体的に社会を変えていくような、革命とか、そんなようなものがアンガージュマンというのかと思ってた。
 ひきこもってた人がバイトとかするようになるのもアンガージュマンなのかな?


 僕がブログを書くことは?

 自分が現実に対して、何か働きかけをすることをいうのかな?




千里眼

2007年2月5日 読書
ISBN:4094032525 文庫 松岡 圭祐 小学館 ¥690
出版社 / 著者からの内容紹介
可憐で心優しい最強のカウンセラー、岬美由紀登場!
横須賀基地から最新鋭のミサイルが突如、都心に向けて発射された。着弾を阻止するには十桁のパスワードを解読しなければならない。美由紀は解読にとりかかる……。一方、千葉の南房総では巨大な観音像に魅せられる不審な少女の姿があった。その陰には世界を震撼させる〈催眠〉の罠が待ちうけていた!

予断を許さぬサスペンス、えも言われぬ爽快感。エンターテインメントの粋を尽くし、ベストセラー街道を独走した大傑作、待望の文庫化!

内容(「BOOK」データベースより)
可憐で心優しい最強のカウンセラー、岬美由紀登場!横須賀基地から最新鋭のミサイルが突如、都心に向けて発射された。着弾を阻止するには十桁のパスワードを解読しなければならない。美由紀は解読にとりかかる…。一方、千葉の南房総では巨大な観音像に魅せられる不審な少女の姿があった。その陰には世界を震撼させる“催眠”の罠が待ちうけていた!予断を許さぬサスペンス、えも言われぬ爽快感。エンターテインメントの粋を尽くし、ベストセラー街道を独走した大傑作、待望の文庫化。


 
 映画も劇場で観たし、原作も読んだ。
 ようするに、ロボトミーみたいなものか。人間の脳に外科的手術を施すと、けっこう思い通りに操ることができてしまうと。
 まあ、これは物語の中でのことですが、意外と現実にも人間を思い通りに操ることはできるのかもしれません。ロボトミーのような脳を外科的に手術するなんていうような古い方法を使わなくても、もっとスマートな方法でできることでしょう。そういう技術は研究されているはずです。
 そうなると、全体主義の国家なんかはたやすく作ることができます。恐ろしいといえば、恐ろしいですがね。

 そういえば、この作品の中には、メフィスト・コンサルティングとかいうような組織が出てきます。人類の歴史を影で操る存在と。
 こういう組織も、実在するんでしょうね。アメリカ大統領なんかも傀儡みたいなものでさ。
 ほんと、怖いですよ。我々の日常にさまざまな影響を与えていますよ。
 
 あれだ、たぶん新幹線とかロマンスカーが全席禁煙になって、僕がタバコが吸えず、泣きそうになるのも、合衆国と世界を影で操る存在のせいかもしれぬ。
 満員電車で、いくらたっても、僕の前の席だけが空かなくて、結局ずっと立っているはめになるのも、合衆国と世界を影で操る存在のせいかもしれぬ。
 僕がカップヤキソバでお湯を捨てようとするときに、中身の麺まではみ出てしまって、流しに麺をぶちまけちゃうのも、合衆国と世界を影で操る存在のせいかもしれぬ。
 電車の中で、途中の駅から乗ってきたカワイイ女の子は絶対に僕の隣の席には座らず、むさくるしいおじさんたちにいつも僕が囲まれて座ってなければならないのも、合衆国と世界を影で操る存在のせいかもしれぬ。
 ・・・・うわあああぁあ!陰謀だ!陰謀だらけだ!!・・・世界は操られている!!

 
 

湘南人肉医

2006年4月20日 読書
ISBN:4043572069 文庫 大石 圭 角川書店 2003/11 ¥580
出版社/著者からの内容紹介
食べることで得られる、女性との一体感、エクスタシー。

湘南で整形外科医として働く小鳥田優児は、神の手と噂されるほどの名医。数々の難手術を成功させ、多くの女性を見違えるほどの美人に変貌させていたが…。

内容(「BOOK」データベースより)
湘南で整形外科医として働く小鳥田優児は、神の手と噂されるほどの名医だった。数々の難手術を成功させ、多くの女性を見違えるほどの美人に変貌させていた。しかし、彼は小さな頃から人肉に対して憧れを持っていた。そして、ある日、手術で吸引した女性の臀部の脂肪を自宅に持ち帰り、食べてしまう。それは麻酔が施されていたため、苦く、おいしいものではな... 続きを読む


 読んでいると、だんだんヘンな気分になってきます。僕、こういう作品、好きです。カニバリズムは究極の性的倒錯ですな。主人公は超デブデブな美容外科医ですが、女性を殺して食べちゃいます。おいしいのだそうです。彼がいうには。
 僕はネクロマンティックとかでもそうだけど、性的倒錯な作品がけっこう好きです。ちょっと異常な作品ですね。前にギニ−ピックっていうような名前の作品も観ましたが、死体を切り刻んでいるようなシーンがあって、それがあきらかに作り物に見えて、もっと工夫してくれないかと思ったものでした。・・・なんか、知っている人が言うには、ギニ−ピックでは以前に本物の死体が出てきたらしい、と言っていました。そうなんですか?それは、すごいですね。僕が観たのは、もう作り物だというのがすぐにわかるほどのシラける作品だったのですがね。

トビラノムコウ

2006年4月10日 読書
ISBN:4837670547 単行本 山下 康代 マキノ出版 2006/03/14 ¥1,365
出版社/著者からの内容紹介
いじめ、ひきこもり、高校中退、リストカット、薬物依存、自殺願望、セックス依存……。近年、若い世代にふえてきた社会現象。それも特別な少年少女だけでなく、ごく普通の若者が堕ちていくという現実。彼ら彼女らはなぜ堕ちていってしまうのか。
 本書の著者は、幼い頃からの吃音、喘息による入退院、心の支えだった母の死、校内でのいじめを経て、不登校、ひきこもりになり、高校は10ヵ月で中退。独学の末、大学検定試験に合格し、大学へ。しかし、東京での一人暮らしは孤独感を強め、薬に頼る睡眠、伝言ダイヤルによる援助交際、そしてキャバクラ嬢に。編入試験を経て入った大学でもサークル仲間とのセックスに溺れ、人に傷つけられたり、だまされたりしてはリストカット、自殺未遂をくり返し、うつ病で精神科病棟への長期入院。退院後もデリバリーヘルス、キャバクラと仕事を転々と変え、「居場所」を見出せないまま苦悩の日々を続ける……。そんな彼女を救ったものは?
 固く閉ざされた心が、静かに雪解けを迎える時。満たされない心。本当に必要としていたもの、それは温もり。少女から大人になるまでの長い夜が今ようやく明ける。29年間のすべてを赤裸々に綴った衝撃のノンフィクション。あなたのそばにもこんな女の子がいるはずです。
内容(「BOOK」データベースより)
寝床が欲しい。ほんの束の間、「あなたはここに居ていいんだよ」と私を受け入れてくれる寝床が欲しい。…私が望むものなんて、いつも、たったそれだけのことなのだ。母の死、大検、自傷、セックス依存、結婚…29年間のすべてを綴った衝撃のノンフィクション。


 ・・・読んでいて、いろいろ共感する部分があったなあ。不登校、ひきこもり、吃音、精神科への入院はこの僕も経験しているし。もちろん、作者とまったく同じではないけど、作品を読んでいて自分の体験を思い出させられる部分も多かった。
 読んでいて僕が率直に思ったのは、作者は吃音という十字架が重く、それがすべての根底にあるというようなニュアンスでお書きになられているけど、吃音はホンの入り口じゃないかなあって思った。なんだか読んでいて吃音以上の大きなこと、自分がここに存在しているということの不安感とか、自分がこの世界に存在することにおいて居場所がないというか、そんなものが背景にあるような気がした。本来の自分は誰からも愛されていない、必要とされていない、そのような自己の存在の不安というものがあるような気がする。根本の問題はそちらで、吃音以上に大きな問題だったのではないかなあと思った。勝手なことを書いてすみません。僕が僕自身の想いというか自分の不安や自分の体験とかと照らし合わせながら読んでいたもので。主観的な想いです。僕自身は家族とか家庭に問題があって、家族がバラバラになり機能不全となっていく中で、自分の本来の感情もあらわにできず、小さい時から自分の本来の姿が誰にも分かってもらえず、自分は自分のこの世界での存在というものに不安感を感じていたのですが、僕の場合はそれらが吃音とか強迫性障害とか不登校とか、ひきこもりという問題につながったような気がして。そんな自分の体験と照らして読んでいましたので、そんなふうに感じてしまいました。
ISBN:4480863273 単行本(ソフトカバー) ペペ長谷川 筑摩書房 2000/05 ¥1,575
レビュー

内容(「BOOK」データベースより)
就職しないで面白おかしく暮らすための実践的しのぎ術満載。全編語り下ろし、書き下ろし。
内容(「MARC」データベースより)
「一生遊んで暮らしたい。でもどうやって食べていく?」 この大問題に、今までの社会ではやってらんなくなった人々が集まる「だめ連」が挑む。就職しないで面白おかしく暮らすための実践的しのぎ術満載。〈ソフトカバー〉


 「だめ連」の本です。だめ連的な生き方、だめ連的な考え方、そのすべてを良いと思うわけではないけれど、僕は憧れます。世の中は厳し過ぎですから。皆、何が楽しくて頑張っているのか、理解できないときが多々あります。日本人は特に頑張ることを良しとするが、もっと力をぬけばいいのに。
 「だめ連」は単なる怠け者だと、そう思っていらっしゃる方が多いかと思いますが、まったくそのとおりです。単なる怠け者なのです。でも、それはそう思う人たちの基準での話しね。だって頑張らなければいけない、と勝手に決めているのは、世の中のほうですから。それができない人達には「怠け者」のレッテルを勝手に貼って、「自分たちはこれだけ頑張っている」と勝手に勝負している気になって、勝手に「勝ち組」とか「負け組」とか思っているだけじゃないですか。はじめから、こちらは勝負などしていないっていうのに。
 「世の中厳しい」とか「頑張らなければいけない」とか、そういう押しつけは、一方的で、僕なんかからすると疲れるだけです。自分らしく生きられないなら、そんな世の中には何の値打ちもありません。くだらない社会としかいいようがない。
 だめ連は、社会に対して、ある意味での問題提起をしています。その意味を重く受けとめるべきだ。今の世の中は。
ISBN:4794212461 単行本 諸星 ノア 草思社 2003/10 ¥1,575

レビュー

内容(「BOOK」データベースより)
30代のヒキコモリがエッセイと漫画で赤裸々につづるフツーのひきこもりの全容。ひきこもりを理解する最強の本。
内容(「MARC」データベースより)
著者は自宅でひきこもっている30代半ばの男性。なぜひきこもったのか、なぜ出られないのか、毎日どう過ごしているのか。漫画をまじえて赤裸々に心情を綴る。「ひきこもり」を理解する一冊。

レビューをすべて見る...

目次

1章 気がつけばひきこもり
2章 ひきこもるという処世術
3章 ひきこもりの周辺
4章 家族と私
5章 ひきこもり見てある記
6章 弱さでつながる

--------------------------------------------------------------------------------

 ひきこもり、いいじゃん。ひとつの生き方ですよ。すばらしい。ボクも、諸星ノア先生に近い生き方ですよ。・・・ひきこもりの人達は、卑屈になる必要はないですよ。これ、ボクの意見ですが。不登校だろうが、ひきこもりだろうが、ニートだろうが、卑屈になる必要はないです。人間には勝ち組も負け組も勝ち犬も負け犬もありません。ダメ人間だろうが、それはそれでいいのです。すばらしいじゃないですか。だめ連のカミナガ氏は働かないで自分のアパートで昼間っから寝てばかりいて、やおら起きあがり、こう言いました。「オレは人生の勝利者だ」・・・みんなが背広着て一生懸命働きに行っている時間にカミナガ氏はアパートで昼寝。そのあげくに発せられた台詞が「オレは人生の勝利者だ」・・・そうですよ、そういう人こそが勝利者です。学歴も肩書きも収入も関係ないっす。
ISBN:4101006059 文庫 太宰 治 新潮社 1952/10 ¥300

 「人間失格」と気軽に言うが、そもそも「人間」とはなんなのだ?どういう人間が「合格」なのか?・・・太宰は自らを失格と思っている。「生まれてすみません」か。
 ・・・しかし、そもそも人間には合格も失格もないのである。井上ひさし氏は太宰に人間合格をあげていたが、そんなものは必要ない。いくら性格破産者と言われようが、太宰は太宰であった。ただ、それだけである。
 たとえ女と心中しようが、太宰が太宰であった、死ぬまで太宰であり続け、自らの想いを自らの苦しみを飾ることなく綴っていった、その純粋な姿勢にこそ、人々は惹かれるのだ。その姿勢には太宰の人間としての強さがあるのだ。太宰は強かった。自分を偽り、世の中に合わせる、ということができなかった。非常に、不器用であった。なにも飾ることなく、自分自身であり続けなければならなかった。それができたということが太宰の強さなのだ。そこには合格も失格もないのだ。我々の一般的な基準でへたに合格をあげてはいけない。そもそも我々自身でさえ、合格といえる代物なのだろうか。真に自らを生きている人間に合格も失格もない。太宰はそういう人であったと思うのだ。
ISBN:4101326312 文庫 松本 昭夫 新潮社 2001/09 ¥420

 
レビュー

内容(「BOOK」データベースより)
受験勉強に没頭していた二十一歳の青年を、ある晩突然襲った「地獄」。思いを寄せる女性が友人と絡み合う生々しい幻覚、次いで二人して自分を嘲笑う幻聴。精神病棟での長い療養生活の、それが始まりだった。電気ショック、インシュリン療法、恐怖の生活指導。絶望の中で青春を送り、四十にして社会復帰を遂げた著者が赤裸に綴る異様な体験。精神医療の内情を静かに告発した超ロングセラー。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
松本 昭夫
1935(昭和10)年、北海道上川郡比布町生れ。’61年、早稲田大学文学部仏文科卒。以降、病気のため職を転々とする。現在は無職、夫人と旭川に暮らす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


 
 著者が精神分裂病で精神病院に入院して過ごした日々や、その後の就職なども語られている。

 著者の松本昭夫氏は文学や哲学などにも詳しいよう。とても頭が良く、優れた感性をお持ちの方である。みずからの精神分裂病による闘病記を出版することにより、氏の世界観をも広く読者に伝えることができた。文学的・哲学的な松本氏の世界観は、こうして病気の体験記を出版する機会に恵まれなかったとしたら、世の中に伝えることもできず、ただ埋もれていたことであろう。精神分裂病患者こそ、純粋な優れた感性を持っている。松本氏は、精神分裂病は、愛の欠乏・愛への飢餓からおこるというようなことをこの作品では述べていた。

 この後に著した続編的な作品においては愛の欠乏のことを否定するような文章も書いておられるが、精神分裂に限らず、神経症や摂食障害や自傷行為など、近年多くなってきている心の問題は、その根源には愛情の問題があると僕は思う。心の病などの問題はその根源には「愛されることの欠乏、飢え」があるのだ。

 精神分裂病は、統合失調症へと名称が変更になったが、たんに名前を変えたところで本質は変わらないと思う。諸々の偏見を改め、患者が、その人にしか感じることのできない主観的な心理的な文脈を持っているのだということを大事にしてほしいと思う。その世界観に共感することをしてほしいと思う。
ISBN:4101025010 文庫 芥川 龍之介 新潮社 2000/00 ¥380
ワルに生きるか、飢え死にするか、ニキビ面の若者は考えた……。
京の都が、天災や飢饉でさびれすさんでいた頃の話。荒れはてた羅生門に運びこまれた死人の髪の毛を、一本一本とひきぬいている老婆を目撃した男が、生きのびる道を見つける『羅生門』。あごの下までぶらさがる、見苦しいほど立派な鼻をもつ僧侶が、何とか短くしようと悪戦苦闘する『鼻』。ほかに、怖い怖い『芋粥』など、ブラック・ユーモアあふれる作品6編を収録。

 『羅生門』などは、国語の教科書にも出てきますか?なんか昔、だれかの課題を手伝ってあげた記憶もありますが・・・
 芥川龍之介の短編が何作か収録されている。新潮社版の文庫である。『羅生門』は人間のエゴイズムを描いている作品だと、よく言われますね。ええ、描いていました。読んでみたら、描いていました。エゴイズムです。主人公の男は最後に生き延びる道を見つけたようですが、それに気がついたときは、なんともいえずスッキリしたことと思います。まあ、この作品にスッキリなんて表現も合わないかと思いますが。今まで悩んで悩んで葛藤した分、老婆の一言でかなりスッキリしたんじゃないかな。そして男が発する言葉、「きっと、そうか」だったかな?そんな台詞があったかと思いますが、この男、自分でも「ハッ」と気がついて、まさに目からウロコが落ちたというか、何かと何かがピピピピピィッとつながったというか、そんな体験をしたことかと思います。ピピピピピィッだなんて、この作品を説明するのにふさわしくない表現だけど。

音楽

2006年1月26日 読書
ISBN:4101050171 文庫 三島 由紀夫 新潮社 1970/02 ¥420

 三島由紀夫の『音楽』。レビューとかの紹介文がないし、写真もないから、さみしいです。
 『音楽』という名の小説です。だいぶ前に読んだから、もう忘れちゃっているなあ。
 音楽が流れると聞こえなくなる?とかいうような症状の若い女性が、精神科のクリニックを訪れるのです。そこから話が始まります。ようするに、精神分析の話ですかね。自由連想法なんかも出てきます。なにか過去の嫌な体験を抑圧しているんだったかな。無意識下に。まあ、だいたい性の話に結びつくのですが。
 読んだ内容を忘れちゃっているのに、読書案内書いて、すみません。でも、三島由紀夫もなかなかいいじゃないですか。自殺しましたね。市ヶ谷駐屯地で。すごいですね。たまにテレビとかで三島由紀夫が演説している光景?が出てきますね。日の丸のハチマキして。
 三島由紀夫の自殺も、僕の生まれるずっと前ですが、ああいう時代があったんだなあ。学生運動が盛んな時代でしたよね?生まれていないのに、懐かしい感じもします。

赤と黒〈上〉

2006年1月18日 読書
ISBN:4003252632 文庫 生島 遼一 岩波書店 1958/01 ¥630
内容(「BOOK」データベースより)
ナポレオン没落後、武勲による立身の望みを失った貧しい青年ジュリアン・ソレルが、僧侶階級に身を投じ、その才智と美貌とで貴族階級に食い入って、野望のためにいかに戦いそして恋したか。率直で力強い性格をもったジュリアンという青年像を創出し、恋愛心理の複雑な葛藤を描ききったフランス心理小説の最高峰。

 僕は新潮社版で読みましたが、岩波書店版のレビューです。スタンダールの『赤と黒』、もう、読んだのは何年前でしょうか。かなり前です。8年前くらいか。
 その後、フランス文学の課題の関係で再び読みました。スタンダールを研究しました。でも、課題は進まず、筆を折りました。未完成で終わりました。
 ・・・そんなことはどうだっていいのです。『赤と黒』について触れましょう。ジュリアン・ソレルは、ナポレオンに憧れています。崇拝している、と言ってもよいのでしょうか。しかし、時はすでにナポレオンが没落したブルボン朝復活の時代。復古王政とでもいうのでしょうか。ナポレオンが好きだなんていうと皆から睨まれます。って、皆がド近眼っていうわけではありません。近眼じゃなくても、そんなこと関係なく睨んじゃうような時代なのです。僕なんか道を歩いていると、よくノラ猫に睨まれます。ノラ猫がウンコしながら僕を睨みます。はっきり言って、辛いです。ノラ猫にさえ、軽んじられる僕なのです。それにひきかえ、ジュリアンは英雄ナポレオンのごとく前進します。前進あるのみです。女性に向かって前進します。相手は人妻です。いけません、いけません、ぼっちゃんいけません、でも、そんなことはお構いなしです。英雄ナポレオンのごとく前進し、人妻のハートを奪います。四千年の歴史をもつピラミッドも真っ青です。
 だめだ、書いていて疲れてきた。年だな、僕も。また来週!!
 

この人を見よ

2005年12月12日 読書
ISBN:4102035079 文庫 西尾 幹二 新潮社 1990/06 ¥420

 ・・・この人のこと見てあげたいんだけど、難しくて、途中で読むのをやめーた。何を言ってるのか、よう分からんて。・・・また暇な時、読みます。熟読だ。

2005年12月6日 読書 コメント (2)
ISBN:4102071024 文庫 前田 敬作 新潮社 1971/04 ¥820
レビュー

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
カフカ,フランツ
1883‐1924。オーストリア=ハンガリー帝国領当時のプラハで、ユダヤ人の商家に生る。プラハ大学で法学を修めた後、肺結核で夭折するまで実直に勤めた労働災害保険協会での日々は、官僚機構の冷酷奇怪な幻像を生む土壌となる。生前発表された「変身」、死後注目を集めることになる「審判」「城」等、人間存在の不条理を主題とするシュルレアリスム風の作品群を残している。現代実存主義文学の先駆者

前田 敬作
1921‐2003。大阪・摂津生れ。東京帝大独文科卒。京都大学名誉教授。ゲーテ、カフカ、トーマス・マンなどの訳書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) カスタマーレビュー

 ・・・測量士のKはいつまでたっても「城」の核心にはねぇ、たどりつけない。この本は7年前くらいに読んだなあ。図書館で。朝から晩まで一日中、図書館にいてこの一冊をずっと読んでいたなあ。居心地の良い図書館だったんですよ。その図書館が。
 そうかあ、『城』かあ。これ読んだときも、意味がなんだか分からなかったんだよねえ。仕事で来たのになんでKは城に入れてもらえないのかなあって。
 まあKは異邦人なんだねえ。居場所が無いと。
 ・・・そうかあ、今の僕と同じだなあ。この世界に生まれたということは、この世界に呼ばれたというわけだよ。しかし、この世界で僕が生きる意味というとねえ。分からないんだよねえ。僕が僕として生きることが仕事なんだけどねえ。
 まあ、カフカの場合は、人間は「職業」というか何らかの肩書きがないとこの世界に存在できない、というようなことを言っておりますな。たんに僕が存在する、と言ったところで、僕という存在は誰にも認めてもらえないのですよ。たとえば「学生の僕」とか「フリーターの僕」とでもいうように、誰にでも通じる「肩書き」のようなものがないとね。そうでないとこの世界で存在できない。この世界に存在しないも同じかと。
 しかし、「僕」は「僕」なんですけどね。肩書きがある前に、「僕」は「僕」なんですよ。まあ、まるで「お母さんだって、主婦である前に女なのよ!!」とかいうようなドラマかなにかの台詞みたいですけど。
 

晩年

2005年12月5日 読書
ISBN:4101006016 文庫 太宰 治 新潮社 1985/00 ¥540

 ・・・落ちこむと太宰を読みたくなる。僕は今日、歳よりも老けて見られたが、きっともう老人なのかなあ。太宰は25をすこし越して、もう老人なのだそうです。僕も晩年なのかもしれないです。

ドラえもん (2)

2005年11月25日 読書
ISBN:4091400027 単行本 藤子・F・不二雄 小学館 1974/09 ¥410
 ・・・この前、ドラえもんの第1巻について書いて、今日は第2巻ですみません。各巻について書いていけば、それだけでブログのネタがかせげてしまうという恐ろしいシステムなのです。まあ、読んでいる人達に飽きられてしまうということを覚悟しなければなりませんが。
 引用文がまた見当たりませんので、引用文は用いません。
・・・さて、ドラえもん第2巻、いったいどんな話がありましたっけ?
 たとえば、「暗記パン」の話の回では、しずかちゃんが、のび太のことを「あんた」と呼び、言葉づかいがいつものしずかちゃんらしくないです。まあ、だからといって、たいしたことではありませんが。
 ボクが気になるのは、のび太くんにアンドロイドのガールフレンドができる話です。ロボットとはいえ、かなりかわいい女の子なので、のび太くんはキンチョウしてしまいタイヘンです。あいさつがいきなり「なんとお詫びしてよいのやら・・・」と、なぜか謝ってしまっています。初めて会っていきなり、謝るのです。ここが、ボクにとってはとてもいい場面です。のび太くんはシャイですが、のぶすけくんも負けないくらいシャイですので、かわいすぎる女の人から話しかけられたら、きっと一方的に謝りつづけるのでしょう。あまりにもかわいい女の人だと、気が動転しますから、もう謝らずにいられないのです。のび太くんのその気持ちは、のぶすけくんにも、よーく分かります。もう恥ずかしさのあまり、許しを乞いたくなってしまうのでしょう。ほほえましいじゃないですか。
 ところで、のび太くんのお父さんは、のびすけだっけ?ボクは、のぶすけですのでお間違いのないように・・・・

ドラえもん (1)

2005年11月23日 読書
ISBN:4091400019 単行本 藤子・F・不二雄 小学館 1974/08 ¥410
 
 ・・・引用文が見当たらないから、引用文なしで書きます。ドラえもん、どんな作品なのか説明するなどと野暮なことはいたしません。・・・のび太くんがジャイ子と結婚するのはあまりにもかわいそうですが、しずかちゃんと結婚するのならば、安心です。「でも、そうなるとセワシ君は生まれてこないのでは?」という、のび太の質問に、セワシはこう答えます。東京から大阪に行くには、いろんなルートがあるけど、新幹線でも、飛行機でも船でも、どんな方法を選んでだって、ちゃんと目的地の大阪に着くと。
 ・・・なるほど。これは人間の運命にも関係がありますな。道はいくつかあっても、もしかすると最終的な結果は同じなのかもしれません。あらかじめ決められている、そういうような運命というものがあるのでしょうか。まあ、運命の話も、難しいものですが。
 藤本弘先生はなかなか奥の深いことをお考えですね。

饗宴

2005年10月27日 読書
ISBN:4003360133 単行本 久保 勉 岩波書店 1965/01 ¥588
レビュー

内容(「BOOK」データベースより)
原題の「シンポシオン」とは「一緒に飲む」というほどの意味。一堂に会した人々がワインの杯を重ねつつ次々にエロス(愛)讃美の演説を試みる。最後に立ったソクラテスが、エロスは肉体の美から精神の美、さらには美そのものへの渇望すなわちフィロソフィア(知恵の愛)にまで高まると説く。さながら1篇の戯曲を思わせるプラトン対話篇中の白眉。

 ボクもエロスのごとく美そのものを渇望し、フィロソフィアにまで高めなければなりません。
 世界の本質とは何か?ボクにとっての興味は昔からそれです。世界の本質というものを知りたいのです。生あるうちに。哲学、宗教、科学、われわれは、われわれ人類はあらゆる学問をつうじ、世界の本質へ到達しようと常にこころがけているのであります。われわれ人類にはいまだかって、この世界の本質というものは分からない。あらゆる学問をあらゆる方法を駆使して、それを探ろうとしております。しかし、人類にはいまだかって、それが分からない。まさにエロスのごとく、知に飢えている。われわれは常に求めつづけなければならない。世界の本質を渇望し、求めつづけねばならない。

インストール

2005年10月24日 読書
ISBN:4309014372 単行本 綿矢 りさ 河出書房新社 2001/11 ¥1,050
レビュー

内容(「BOOK」データベースより)
女子高生と小学生が風俗チャットでひと儲け。押入れのコンピューターからふたりが覗いた"オトナの世界"とは!?最年少・17歳、第38回文芸賞受賞作。

内容(「MARC」データベースより)
突然、学校生活から脱落することを決めた高校生・朝子。ゴミ捨て場で知り合ったクールな小学生かずよしに誘われて、チャット風俗で一儲けすることに。押入れのコンピューターから覗いた「オトナの世界」とは? 文芸賞受賞作。


 ・・・そうですか、綿矢先生は17歳でこの作品をお書きになられたのですか。すごいなあ。のぶすけは綿矢先生を尊敬しちゃいます。映画化もされましたね。文庫でもまた出ましたね。さすがだなあ。・・・この才能を、のぶすけにもインストールしちゃってください。

1 2

 

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

日記内を検索